EC事業において物流コストは、売上に直結してくる重要な部分であり頭を悩ませている業務のひとつではないでしょうか。物流コスト削減に取り組むには、内訳を正しく理解して物流業務の改善を行うことが重要です。
この記事では、物流コストの内訳や、コスト削減方法について解説しています。これからEC事業成長、売上拡大を目指している方は、ぜひ最後までご一読ください。
ECの物流コストとは?
物流コストとは、簡単に言うと物流業務に関連して発生する費用のことです。商品が入荷してから手元に届けるまでの行程において発生した全てのコストを「物流コスト」と呼んでいます。
物流コストの分類
物流コストの主な分類方法とそれぞれの分類で見たときの費用内訳です。
支払い形態で分けられる物流コスト
支払物流費 | 外注先に支払う物流コスト トラックなどの運賃、社外に委託した物流費、倉庫の賃借料などが該当 |
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自家物流費 (社内物流費) |
自社内で発生する物流コスト 人件費やシステム管理費、倉庫維持費、トラックの修繕費などが該当 |
物流プロセスで分けられる物流コスト
調達物流費 | 物を調達するときにかかる物流コスト 配送費・保管費・荷役費などが該当 |
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社内物流費 | 物流関連の社内業務にかかる物流コスト 商品販売までの輸送費や保管費、梱包費などが該当 |
販売物流費 | 販売から消費者に届くまでにかかる物流コスト 受注~発送までに行う作業費・配送費などが該当 |
ECの物流コストの内訳
物流コストの削減を考える際に重要なのは、なに対してどれぐらい費用がかかっているのか内訳を把握することです。物流コストは機能別に5つの費用に分類できます。
- 配送費:商品を運ぶときにかかる物流コスト
- 保管費:商品を倉庫などで保管するときにかかる物流コスト
- 荷役費:商品を荷台に上げ下ろしする作業にかかる物流コスト
- 包装費:商品を梱包するときにかかる物流コスト
- 人件費:物流スタッフの人件費
配送費
配送費とは、商品を運ぶときにかかる物流コストのことです。具体的には、宅配業者に支払う配送料、チャーター便の運賃や航空便の運賃などが該当します。「2020年度物流コスト調査結果」によると、機能別に分類した物流コストの中で運送費(=輸送費)の構成割合は55.2%と最も高い割合です。物流コストを削減したいときに、最初に見直したい項目といえます。
保管費
保管費とは、商品を倉庫などで保管するときにかかる物流コストのことです。
保管する場所や倉庫の種類、大きさによって発生するコストに差が出ますが、倉庫をレンタルしている場合は、管理費や賃借費、自社倉庫の場合は維持費が必要になります。
荷役費
荷役費とは、商品の入荷や出荷に伴う作業にかかる物流コストのことです。入庫の際にかかる「入庫費」、出庫の際にかかる「出庫費」に加えて、タグやシールの貼り付け、ラッピング作業にかかる「流通加工費」が該当します。
他にも、海外への輸出が必要な場合は、通関料、ドレージ料、取扱手数料、関税なども含まれてきます。
包装費
加工費とは、商品の梱包にかかる物流コストのことです。ダンボールや緩衝材などの資材費用や、物流スタッフの作業費なども含まれます。
物流管理費(人件費)
物流コスト内での人件費とは、物流システム導入や管理、作業スタッフのお給料などです。具体的には、現場スタッフへの指示書の作成・発行、納品書やインボイスなどの伝票発行など、様々な業務があります。これらは物流全体の流れを把握するためにも必須作業になるため、コスト削減がしにくい部分です。
物流コスト比率から見る推移
2022年度の物流コスト比率は5.31%
物流コストを削減するには、物流コストをどれくらいの比率にすればいいのか把握することも重要です。物流コストの平均と推移を知ることで、自社の物流コストが適正かどうか把握できます。
参考になるのが、日本ロジスティクスシステム協会が公表している「2022年度物流コスト調査報告書」です。報告書によると、2022年の売上高物流コスト比率は全業種平均で5.31%という結果です。
2022年度と比較すると0.39%減少していますが、近年の物流コストは増加傾向にあり、物流業務を委託している企業の多くが物流コストの値上げ要請を受けたと回答しています。
画像:2022年度物流コスト調査報告書をもとに作成
ECの物流コスト削減方法
ここからは、物流コストを削減するための具体的な解決方法を紹介していきます。
物流拠点を集約・分散するか見直す
物流拠点は、集約型と分散型があります。物流拠点が複数分散されていると、配送先までの距離が短くなり配送費を削減できます。しかし、保管費・管理費・人件費など拠点の数だけ維持費用がかかります。
事業者の出荷量や商品サイズによってコスト削減に繋がるかどうか異なるため、自社に適しているのはどちらなのか検討が必要です。
【拠点の集約におすすめなEC事業者】
・月間の出荷量が1000件未満
・商品サイズが小さく輸送の際の積載率を上げられる
【複数拠点におすすめなEC事業者】
・月間の出荷量が1000件以上
・商品サイズが大きく、配送料金が高い
物流作業のルール見直し(効率化)
物流には様々なコストがかかりますが、その中でも人件費が多く占めるのはでないでしょうか。人件費を削減するには、物流作業の見直しと効率化が重要です。
・出荷ミスが発生しない体制
・作業時間の効率化ができているか
2つの対策ができているか確認しましょう。
業務フローが非効率だと、人件費を増加させるだけでなく、ミスの増加にも繋がり顧客満足度の低下を招く恐れがあります。
効率を低下させる問題が起こらないように、「見る角度が異なるチェック体制」「ハンディターミナルなどの機器導入」するなど業務の効率化を行いましょう。
物流管理システムの導入
物流コストを削減するために、物流管理システムを導入することも効果的です。
システムを導入することで、人件費の削減ができ、ヒューマンエラーなどの人為的ミスが起こりがちな入出庫作業も改善できます。
物流管理システムは種類が多く、自社に合ったシステムを選ぶようにしましょう。
自社に合わないシステムを導入してしまうと、トラブルやメンテナンスのコストが発生してしまい、コスト削減を目指していたはずが、コスト増加につながるといったリスクも考えられます。
物流をアウトソーシングする
コスト削減の見直しをしても思うように結果が出ない場合は、アウトソーシングを検討してみましょう。
アウトソーシングを活用することで、コスト削減だけでなく物流業務のミスを減らすこともでき、顧客満足度もアップするなど品質向上も期待できます。
アウトソーシングは、一部の業務のみ委託することも可能なので状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。
【物流をアウトソーシングするメリット】
・物流コストの見える化
・本業に集中できる
・物流業者がトラブルに対処してくれる
物流コストはシステムや外注化で削減しましょう
今回は、
・ECの物流コストとは
・ECの物流コスト比率
・ECの物流コスト内訳
・ECの物流コストの削減方法
について解説しました。
ECにおける物流コストの削減は、EC事業成長において大切な施策のひとつです。
自社で工夫しても物流コストが削減されない場合は、物流システムの導入や、物流業者へのアウトソーシングを考えてみてください。物流業務の委託を検討される際は、ぜひロジグロまでお気軽にお問い合わせください。