
EC事業の成長とともに出荷件数やSKU数が増えると、在庫管理の難易度は一気に高まります。その中で「棚卸し業務」は、在庫精度を保ち、物流全体の健全性を確かめるための重要な工程です。倉庫管理システム(WMS)と実在庫の突き合わせは、言わば物流の答え合わせとも言えるでしょう。
しかし実際には、物流代行業者を選ぶ際に「棚卸し対応」に注目する事業者は多くありません。商談では料金や立地、配送リードタイムばかりが話題に上がり、棚卸しについて確認しないまま契約してしまうケースも少なくないのです。その結果、「棚卸しは荷主の責任」と切り離され、想定外の業務負担や在庫差異に悩まされることになります。
特に低コストを売りにする業者では、棚卸しを代行業務に含めない傾向が顕著です。コストだけで選ぶと、一見お得に見えても、後々の在庫精度や経営リスクに大きな影響を及ぼしかねません。
本記事では、棚卸し業務を切り口に「信頼できる物流代行業者を見抜く方法」を解説します。選定のチェックポイントを押さえ、長期的に安心できる物流パートナーを見つけるヒントにしてみてください。
倉庫での「棚卸し」とは?
倉庫での棚卸しとは、倉庫に保管している商品を実際に数え、システム上などの管理数値の在庫数と突き合わせて差異を確認する作業です。会計上の在庫評価や決算のために行うイメージが強いですが、本質的には物流が正常に機能しているかを確かめる検証作業です。
例えば、システム上は「在庫100点」と表示されていても、実際には破損や紛失、検品ミスによって数が合わないケースがあります。棚卸しを定期的に行うことで、こうした差異を早期に発見でき、物流オペレーションの改善に役立てることができます。
EC事業における棚卸しの役割
EC事業にとって棚卸しは、単に在庫数を合わせる以上の意味を持ちます。
- 販売機会の損失防止
- 資金繰りの安定
- リスク管理
- 経営判断の精度向上
つまり棚卸しは、日々の販売活動から経営全体にまで影響する土台になります。
在庫差異が生じる主な要因
- 入庫時の検品漏れ・数量違い
- ピッキングや梱包のミス
- 返品処理の誤り
- 破損・紛失・盗難
- システム入力の遅れや二重登録
棚卸しはこうしたエラーを洗い出す「セーフティネット」として機能します。
棚卸しを軽視するリスク
棚卸しをおろそかにすると、目に見えない損失が蓄積していきます。顧客クレーム、資金繰りの悪化、決算処理の難航などがその代表例です。
棚卸しは「在庫数を数える地味な作業」と思われがちですが、実際にはEC事業を安定的に成長させるための生命線です。
物流代行業者の棚卸しスタンスの違い
「棚卸しは荷主の仕事」という業者の実態
特に低コストを売りにしている業者ほど、棚卸しを荷主の責任として切り離す傾向があります。一見安く見えますが、在庫精度の担保が曖昧になり、結果的にリスクを抱えます。
「低価格と品質リスク」は表裏一体
- 誤差が発見されるのが遅れる
- 荷主側に棚卸し要員が必要になる
- 決算時に差異がまとめて発覚する
安さを優先すると、結局はコスト増につながる場合があります。
棚卸しを重視する業者の特徴
- 定期的に棚卸しを実施
- 誤差率を数値で公開し、改善報告
- WMSとリアルタイム連携
- 荷主の立会いやレポート提出に対応
こうした業者は日常のオペレーションも安定しており、信頼性が高いです。
棚卸し対応のスタンスは、業者の品質志向を映す鏡です。料金だけでなく棚卸し対応を必ず確認しましょう。
棚卸しが物流の品質を映す理由
棚卸しは「物流オペレーションの健康診断」
誤差が出る=業務フローのどこかに問題が潜んでいるサインになります。
誤差が少ないということは、業務が安定している証拠です。
入庫から出庫までの流れと差異の関係
- 入庫・検品
- 保管
- ピッキング
- 梱包・発送
棚卸しはこの一連の流れの答え合わせとなります。
誤差率が低い業者の取り組み
- バーコードやハンディ端末を活用し作業を標準化
- 作業ロスのないダブルチェック体制
- 棚卸し後の差異を原因分析し、改善策を現場に反映
棚卸しを軽視する業者に潜むリスク
在庫誤差が発生した際、本来であれば倉庫側が原因を特定し改善につなげるべきですが、中には責任を荷主側に押し付ける業者が存在します。
典型的なのは以下のような言い分です。
•「荷主の指示が途中で変わったから」
•「急な要望に対応しただけ」
•「荷主システムのデータが違っていた」
もちろん、荷主側の要望やシステム連携が原因で誤差が発生する場合もゼロではありません。
しかし、信頼できる業者であれば、原因がどちらにあっても改善策を一緒に検討し、再発を防ぐ姿勢を示すはずです。
一方、責任を曖昧にし続ける業者は、誤差と真剣に向き合わず、結果的に在庫精度が向上しないままリスクが積み重なっていきます。
棚卸しは物流品質を測る重要な指標です。
透明性を持って公開する業者ほど信頼できると言えます。
商談で棚卸しが語られない背景
商談で優先されやすい項目
料金・リードタイム・立地が中心で、棚卸しは話題に上がりにくい。
棚卸しが軽視される心理的背景
- 業者側:負担が大きく評価されにくい
- 荷主側:決算時だけの作業と誤解
棚卸しを確認しないことで起きる落とし穴
- 荷主に丸投げされ負担増
- 顧客クレームの増加
- 決算処理の難航
商談時に確認すべき質問例
- 棚卸しの実施頻度は?
- 誰が主体で行うのか?
- 誤差率や実績は?
- 差異時の対応は?
- レポート提供はあるか?
棚卸しを確認することで、業者の本気度を見極めることが可能です。
信頼できる物流代行業者を見抜くチェックリスト
チェックすべき5大ポイント
- 棚卸しの実施頻度と方法
- 誤差発生時の対応力
- システムとの連携状況
- 棚卸し結果の透明性
- スタッフ教育と標準化の有無
【確認用チェックリスト】
項目 | 信頼できる業者の特徴 |
---|---|
棚卸しの実施頻度 | 四半期・月次で実施、ITツール活用 |
誤差発生時の対応 | 原因調査+改善策を報告、誤差率を公開 |
システム連携 | WMS+OMS/ECカートと自動連携 |
結果の透明性 | 詳細レポートを開示、立会いも可能 |
スタッフ教育 | マニュアル化+定期研修で標準化 |
料金比較に加え、このチェックリストを活用することで長期的に安心できる業者を選べますので、ぜひご活用ください。
まとめ
棚卸しは物流全体の品質を映す答え合わせです。
- 「荷主任せ」の業者は安さと引き換えにリスクを抱える
- 棚卸しを重視する業者は透明性と責任感を持つ
商談時には必ず棚卸し対応を確認し、以下を押さえることが大切です。
- 実施頻度と方法
- 誤差対応と改善報告
- システム連携
- 結果の透明性
- 教育と標準化
棚卸しは物流の本気度を測るバロメーター。短期的なコストよりも長期的な信頼を重視し、安心して任せられるパートナーを選ぶことが、EC事業の持続的な成長につながります。
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